黒部川源流釣行 7月29〜8月1日

太郎平山荘まで 7月29 晴  私が黒部川への釣行を思い立ったのは熱帯釣師の紀行・特別紀行1特別紀行2を読 んだことがきっかけでした。黒部ダムから遡ることは諦めていた私ですが有峰湖からの コースならいつの日にか私一人でも黒部源流へ行けるかもしれないと胸にしまいこんで いた憧れが漸く実現することになった。  当初予定していた魚野川の上流を遠出釣行ではいつも一緒のYさんが体調がよくない と断ってきたとき、躊躇することなく黒部の源流域をめざすことにした。  出発に際してりりまるさんから有峰湖に至るにはR471から東谷線がいいとアドバ イスしていただいた。神岡の町は以前何度か仕事で出かけて滞在したこともあるので懐 かしく最後の食料を調達しようと平湯トンネル越えで神岡をめざした。    高原川にかかる駒止橋から双六谷に入り私のナビにはないトンネルをくぐり、山中の 立派な大規模林道を延々と走り登山口の折立に着いたのは14時近い頃であった。    荷の重さに持参したウエットスーツとザイルのどちらかをトランクに置いて行こうと ザイルが必要な場所にぶつかったら泳ぐか引き返そうとザイルと衣類と食料の一部をト ランクに残し14時太郎平小屋めざして歩き始める。  歩くこと2時間で高山帯になり18時過ぎ、太郎平小屋にはいる。薬師岳に夏雲がか かり頭上に重い。夜は多くの登山者の天下で立山からきた人、双六岳からきた人々の話 に耳を傾けながら明日の行動を夢見ながら眠りにつく。 薬師沢・薬師沢左俣・黒部源流 7月30日 晴 山小屋の朝は早い。5時の一回目の朝食開始に間に合わすべく起床し、記念写真のシャ ッターを押してもらったりして薬師沢への道を下る。30分ほど下ると薬師沢の上流に でる。登山者の休み場になっているが程ほどの水量なので早速釣り糸を垂れてみる。  1回目でかすかな魚信があったので少し釣り登ると15cm・20cm・25cmと 釣れてきた。今回は全てリリースの予定なのでキジの浮かせ釣りと今回は毛鉤を用意し てきた。30分ほどで切り上げて登山道を下り薬師沢左俣へと向かう。  岩陰に荷物の一部をキープして釣り上がる。平均サイズは20〜25cmといったと ころであった。黒部源流イワナの特徴は痩せているがひれがいやに大きい。この後釣れ るイワナは全てその特徴が表れていた。  やがて滝が現れ、この上には>数個の美しい滝が連続していたがイワナは棲息しておら ず、文字通り魚止めの滝であった。記念のケルンを積んで下って行くと赤木平まで行く という一人の沢登りの登山者と続いて関西弁のテンカラ釣りの二人に出会った。  薬師沢の小屋の前で記念の写真を撮り、小屋番に源流に行くことを告げていよいよ黒 部の源流へと足を踏み入れた。釣れる平均サイズは25cmといったところあった。  やがて谷が狭まり黒部源流の核心部と思われる地点にさしかかる。谷沿いに進めなく なり左岸に巻き道が見られ大淵を上から覗きながら登ると40cmほどのイワナが悠然 と泳いでいるのが見られた。草付きの岩場を少し下り淵の中を覗くとなんと、数十匹の おおきなイワナが瀬尻りに群れ泳いでいた。それを記録しようと何枚も同じ写真を撮っ たが帰ってから注視してもはっきりはせず、黒部の幻だったのであろうか。  上から見下ろすような足場の悪い場所であるが餌を流してみると30cmクラス3匹 を釣り上げリリースした後は餌を追わなくなってしまった。40cmが泳いでいるとこ ろにはザイルがなければ近ずくことはできない。何枚かの写真を撮り去りがたいおもい にかられながら赤木沢の出合いをめざした。  熱帯釣り師さんの言う赤木沢の出合いの淵の写真を撮り淵尻の岩の上を慎重に横切る。 大きな淵の淵尻にはきまってイワナがいついており少ない餌が流れてくるのを待ってい るのが見えた。毛鉤に切り替えイワナが近づいてくるのを確認するだけの贅沢な釣り方 で先をいそいだ。  兎木平という高台を通る。誰かそこをテン場にした形跡はあるが何のゴミも見当たら なかった。黒部に夕闇のせまる頃川岸の高台に先人の使用した小綺麗なテン場を見つけ てツエルトをはる。イワナを一匹だけキープして夕食を作り、7:30には黒部源流の 水音のなかで眠りについていた。 7月31日 晴  今日は祖母沢(ばあさわ)、祖父(じいさわ)をさぐり黒部五郎沢を遡って黒部五郎 小屋までの予定である。小鳥の鳴く声で目が覚めると5時であった。五郎沢の出合いで 一人の釣り人(四国のAさん)に出合った。そのまま黒部源流を詰めて雲ノ平経由で下 山すると言う。お互いに一人なので写真を撮ったりしてしばし黒部について談笑した。 Aさんは昨日の夕方この付近を釣ったらどこのポイントでも釣れたと言う。 荷物の一部を五郎沢の出合いに残して祖母沢に向かう。  祖母沢  五郎沢から10分ほど登ると祖母沢の出合いである。Aさんに聞いた通り水量が少い 沢であった。1kmほど釣り上がったが釣れるサイズは20cmを少し越えるサイズで あった。魚止めまで行くわけにもいかずケルンを積んでから下った。  祖父沢    祖母沢の出合いからさらに10分ほどで祖父沢の出合いである。やはり1kmほど釣 り上がってみたが釣れるサイズは25cmほどであった。やはり写真を撮りケルンを積 んで黒部五郎沢出合いまでもどった。  黒部五郎沢  三つのなかでは黒部五郎岳のカールから流れ出す水があるため一番水量の多い沢であ った。イワナのサイズは25cmほどで途中で二股に分かれ傾斜が増すが傾斜のゆるく なる五郎小屋の台地付近までイワナは生息していた。  本流筋である右俣のほうが水量が多いので釣るならば右俣のほうがいいと思うが小屋 へのアプローチの関係で右俣は敬遠されるという。草原のなかの小川を伝って歩くと赤 い屋根の黒部五郎小屋が見えてきた。  長い夕刻までを登山者や立山・薬師を越えてきたと言うスコットランド人の若者と談 笑して時をすごした。  8月1日 帰路 ガス後晴    黒部五郎の小屋から黒部五郎岳を越え、太郎平を経て折立までの長い帰路を考えて、 朝4時半に歩き始める。黒部五郎岳・赤木岳などの帰路の稜線は北の俣岳までずっとガ スの中で展望は得られなかった。北の俣岳を越えたあたりから漸く雲が切れ咲き乱れる 草花の写真や辿ってきた黒部源流の山々の写真を撮ったりして折立に着いたのは 13時をまわっていた。  登山センターの前で五郎沢の出合いで出合ったAさんに再び出合い談笑を交わした。 黒部源流本流から雲ノ平を目指したAさんは最後雪渓に阻まれ薬師沢小屋に引き返した とのことであった。  清麗な黒部源流の大淵で大イワナが悠々と群れ泳ぐ光景、そんな場所を訪れることが できたことが今回の釣行の印象である。

(水が透明なので、写真ではこじんまりと見えるが大場所である)