トラジマちゃんの初釣り
2001年の解禁前のある日、山の中で釣りがしたいという
女性からのメールが飛び込んできた。
海ではなく、山で釣りたいのです。。。
山登りやスキーなら教えたことが・・・・・ 渓流釣りを・・・・・女性に・・・・。
なぜ・・・・まあいいか・・・・何事もチャレンジ精神の旺盛な杣道・・・・なんとかなるだろうと。
何度かメールのやりとりの後、約束の場所にあらわれたのがトラジマちゃんでした。
素人の強さっていうのか、怖さっていうのか、「川で釣りしてみたい。」ただそれだけが理由。そまみちって、ナンだ? そういう知識も疑問も持たないまま、渓流釣りはどうやって覚えていけばよいのか、メールで問い合わせたのがきっかけで、釣りを教えてもらえることになった。。。なんてラッキー!私の判断する限り、まともな人だ。でも、何かヤバかったら、その場で帰ろう。。。何事も単純な私なのだった。
当日は、程よく晴れて、人知れず山奥で咲き誇る遅咲きの桜を見て感激していた私には、川に入る前に「今日は渓流というよりは、山釣りです」と師匠の言葉をこの後すぐに、身をもって知ることになろうとは、トラジマは知る由もなかった。
わさび田も、初めて見た。川の水も澄んでいて、一気に嬉しい!っていうボルテージが上がった。 師匠に釣り針などの付け方を教わる。トラジマ、思っていたより不器用さを自覚したが、目の前には川、細かいことは気にならない。
さて、川へ降りた時は川幅も狭く、水位も深くないので安心していたが、 それもつかの間、釣り糸を数度たれては、どんどん川を遡って行く。 まごまごしていると、置いていかれそうだ。私の方は、ただ川を登っていくだけでも大変だったが、師匠は釣りまでしながら平然と進んでいるではないか。びっくりした。
時折いいポイントがあると、師匠は「ここでやってみて」と、トラジマにどこのあたりに 糸を垂らすかアドバイスしながらトライさせてくれる。
初めてのヒットは、もちろん師匠だった。まだ、小さいヤマメだったので、川へ返したが 本当に奇麗だった。 ついにトラジマもヤマメを釣り上げ最初の一匹はまだチビ助だったが、18cm 程のヤマメを釣ることができた!師匠はせっかくなので証拠写真を撮るって言うのだが、 私自身はもうすぐさま頬擦りしたいような気持ちになった。まぁ、実際そんなことしないけど、釣られた挙げ句にゴロゴロされたら、魚としてはさぞかし嫌だろうなぁ、と 後で何故か申し訳ないような気になった。
その後も、せっかく来たのに逃げられたヤマメがいたのだが、これは結構まともな 大きさだった。白く光る腹の大きさを見てそう思ったのだけど、 これが「逃げた魚は大きい」ってやつなのだと師匠と(でも師匠も普通の大きさだったと証言して下さり)納得しあった。良さそうなポイントなので、先にトラジマに 竿を渡してくれたのだが、師匠が先ならちゃんと釣っていたのかも…。まぁ、とにかく逃げたけど、所在確認は出来た:川には魚が泳いでいるのね。と1人悦にいった。得な性格だなぁ、私って。
結局トラジマがお荷物と化して、滝(私にとっては充分滝、人によっては川と呼ぶかも)が三方向から落ちている辺りで、引き返して山にあがることになった。 私はそれまでの行程も沢登りと呼んでいたのだが、どうやら違うらしい。そんな、弟子より試練と呼んだ方がいいよーなトラジマにヤマメをお土産に持たせてくれたのだった。
帰ってから即、鰭部分のみに天然塩をつけて炙って食べたが、旨いのなんのって 猫も周りをぐるぐるまわるので、(川魚だから、そんなに匂うってはずないから 私のがっつき様のせいかも)少し本日のお留守番分の分け前をやったらとても喜んでいた。
トラジマは改めて「魚ってキレイなんだな」と思ったけれど多分鳥とか動物も 自然の生き物が自然に生きている限り、すーーーーごく美しいモノなんだろうと思う。 なんて、トラジマはいたく感動しながらも、ほぼ それは移動していない時に 思い馳せるってモンで、正直言って殆どは自分の生命の心配?ばかりしていた。
つまり、「この岩からずるっとすべったら…」「ソマ道って道じゃないじゃない!この斜面でずるっと行ったら…」そんなことが※どんなに気を確かに持っても頭に浮かぶ→心臓が高鳴る→緊張のあまり更にぎこちなさが足元を脅かす→※繰り返し っていう図式だった。
それでも釣れたのだから、やっぱりスゴイ。あまり釣果にはこだわってなくて 手ぶらで帰っても全然問題ないと思っている。でも、もしかして無欲なうちに釣っておかないと、釣れなくなるタイプかも!とトラジマの釣り日記は始まったばかりなのに、今からあれこれ思うのだった。