98年度第2回車体整備士技能認定試験問題と
解説及び編集部模範回答


解説は東京都自動車車体整備協同組合ニ養講師の大石幸男氏に担当していただきました。(解説の後に記してあるのはテキストの頁
[1]次の各々について、適切なものには○を、適切でないものには×を記入しなさい。
1.自動車に働くこう配抵抗は、車速に関係なく車両総荷重(車両総重量)と登ろうとする坂のこう配によって決まる。
2.自動車の駆動力は、エンジンのトルクと駆動輪の半径に正比例する。
3.ガソリンの主成分である炭化水素は、完全燃焼すると二酸化炭素と水になる。
4.3Ωの抵抗3個を並列に接続したときの合成抵抗は、1Ωである。
5.棒の両端にねじが切ってあり、一方のねじを機械本体に植え込んで用いるボルトをセルフロッキング・ボルトという。
1.そのとおり。(基礎自動車工学p105
2.トルクには比例するが駆動輪の半径には半比例する。(基礎自動車工学p105
3.そのとおり。(基礎自動車工学p77
*排気ガスの大部分は窒素・炭酸ガス(二酸化炭素)・水になる。
*そのうちの窒素は空気の成分である。
4.その通り、以下に式を表示(基礎自動車工学p95

              1
      −−−−−−−−−−−− = 1
        1     1      1
       −− + −− + −−
        3     3      3
5.一方のねじを機械本体に植え込むボルトはスタッド・ボルト と言う。
基礎自動車工学p60

[2]次の各々について、適切なものには○を、適切でないものには×を記入しなさい。
1.積層鋼板は、二枚の薄肉鋼板の間に薄いアルミニュウム板を挟んだ構造である。
2.有機複合鋼板(デュラスチール)は、メッキ鋼板に有機塗料を塗布して、防錆効果を高めたものである。
3.浸炭焼き入れとは、鋼を高周波電流で加熱し表面層の炭素量を増加させる熱処理である。
4.高速度鋼は特殊鋼の一種で、一般に高速で回転するベアリング等に用いられる。
5.自動車ボデーに使用される繊維強化プラスチック(FRP)は熱硬化性樹脂が用いられているので、加熱及び溶接による補修が可能である。
1.積層鋼板は非金属材料を挟んだ鋼板である。
教科書p27
2.そのとおり。
*** 教科書p26に名称は出ているが設問に対しての解説はない。
3.高周波電流を使用して焼き入れを行うのは高周波焼き入れという。
基礎自動車工学p52
4.高速度鋼とは高速回転でものを切削するのに使用する材料である。
***
5.FRPは熱硬化性樹脂で熱を加えると硬くなるので溶接は出来ない。
教科書p31

[3]次の[A]の各々にもっとも関係のあるものを[B]から選んで、その記号を記入しなさい。
[A] 
イ.サイド・シル(ロッカ・パネル)等耐食性を要求される部材に適している。
ロ.乗用車のフロント・フェンダ等ハイ・クラウンの成形加工を要する部材に適している。
ハ.自動車の重量軽減を図るための強度部材に適している。
ニ.ダッシュ・パネル等の遮音、制振性を要求されるボデーの部材に適している。
ホ.トラック・フレーム等高い強度を必要とする部材に適している。
[B] 
1.1種熱間圧延軟鋼板(SPH C)     2.3種熱間圧延鋼板(SAPH41)
3.1種冷間圧延鋼板(SPC C)      4.3種冷間圧延鋼板(SPC E)
5.高張力鋼板           6.積層鋼板       7.亜鉛めっき鋼板

イ.耐食性のある鋼板は亜鉛めっき鋼板である。
教科書p26
ロ.ハイ・クラウン加工に適した鋼板は3種冷間圧延鋼板である。
教科書p23
ハ.高張力鋼板は薄くても強度が保てる鋼板なので薄くして軽くできる。
教科書p23
ニ.積層鋼板は樹脂を挟んだ制振構造である。
教科書p27
ホ.3種熱間圧延鋼板がトラックフレームに使用されている。
教科書p22 熱間圧延軟鋼板が軽量トラックのフレーム材などに使用されている。

[4]乗用車のモノコック・ボデーについて、次の各々のうち適切なものには○を、適切でないものには×を記入しなさい。
1.衝突時のように大きな外力が加わった場合、衝突部分での衝撃エネルギの吸収効率が良く、客室への衝撃波及度を少なくできる。
2.独立したフレームがないため、床面を低くして客室空間を広くすることができないので、車両重心が高くなる。
3.サイド・ボデーのうち、サイド・シル・インナ(ロッカ・パネル・インナ)は、強度部材ではない。
4.ルーフ・ボウは、ボデーの剛性を高めるための大きな役割を持っている。
5.ドアのチェック・アンド・ストッパ機構は、上下ヒンジ中間部に独立して取り付けられている。

1.そのとおり
教科書p45
2.床面を低く客室空間を広くできるので車両重心は低くできる。
教科書p45
3.サイド・シル・インナはフレームに相当する強度部材である。
教科書p60
4.ルーフ・ボウはルーフの制振や内張りの押さえ程度のもの
教科書p97 図2−。−1を参照
5.そのとおり
教科書p71
[5]次の各々について、適切なものには○を、適切でないものには×を記入しなさい。
982_1.jpg1.フレームの外側に補強板を取り付ける場合、右図に示すようにフレームと補強板の角の部分にすき間があってはならない。
2.コ型の断面のフレーム・サイド・メンバに曲げモーメントが働いた場合、ウェブ・セクションの上下の中心部に最大曲げ応力が発生する。
3.低床式ボデーのトラック用フレームには、キック・アップ・サイド・メンバが採用されている。
4.フル・フロート・チルト・キャブのリヤ・マウント部に設けられているラテラル・ロッドは、キャブの上下方向の動きを押える役目をしている。
5.フレーム付きバス・ボデーでは、フレームのアウト・リガー(クロス・メンバの延長部分)にボデーの柱を固定することによってボデーの強度を持たせている。

1.すき間はなくてはいけない。
教科書p215
2.上下の端に近い方が応力が大きい。
***
3.そのとおり。
教科書p63 乗用車の解説であるが低床式トラックも同じである。
4.左右方向の動きを押さえるものである。
教科書p91
5.そのとおり。
教科書p99
[6]乗用車のフロント・ボデーについて、次の各問に答えなさい。
問1.図のa〜eの各部の[A]から選び、その番号を記入しなさい。
問2.次の各文の( )の中に入れる適切なものを[A]から選び、その番号を記入しなさい。
1.(イ)は、フロント・ボデーの上部にあって、左右のフロントピラーとフロント・フェンダー・エプロンが接合されていてクロス・メンバ的な役割を果たしている。
2.(ロ)は、前面からの強い衝撃を受けた場合のそれ自体が変形して衝撃を緩和するよう、部分的に屈曲をつけた形状のものが多い。
[A] 
982_2.jpg1.フロント・クロス・メンバ
2.フロント・エプロン
3.フロント・サイド・メンバ
4.フード・レッジ(フロント・フェンダ・エプロン)
5.カウル・トップ
6.ラジエータ・コア・サポート
7.インストルメント・パネル
8.フロント・バンパ
9.ダッシュ・パネル
10.フロント・ピラー

問1 名称を選ぶだけなので教科書を参考にしてほしい。
教科書p49
  
問2 これも教科書からの文の抜粋なので教科書を参考に。
教科書p49
[7]次の各々について、適切なものには○を、適切でないものには×を記入しなさい。
1.ディンギング・ハンマは、精密仕上げ用のならしハンマである。
2.板金作業では、修正しようとするパネルのへこみが大きく広がっているときは、へこみを周辺から中心に向かってハンマリング作業を進める。
3.オフ・ドリー・ハンマリングとは、ドリーを使用しないでハンマ打ちをする方法をいう。
4.ワッシャ・ピンとスライド・ハンマで行う溶着引き出し作業は、パネルの弾性ひずみを多く含んだ変形の精密な復元に適している。
5.板金パテにワックス・タイプのものを使用した場合には、半乾きのうちにサホームで粗削りしてワックスを落とす必要がある。
1. 
*ディンギング・ハンマは、長い首を持ったならしハンマで、特に精密仕上げ用にバランスを重視した設計がされている。
昭和54年3月発行の教科書p111より抜粋
2.そのとおり。
***
3.ドリーは使用するがハンマとはずらして使う方法である。
教科書p119
4.精密な復元には向いていない。
教科書p117
5.そのとおり。
教科書p125
[8]大型トラック用フレームの補強板の取り付けについて、次の[A]の各文の( )の中に入れる適切なものを[B]から選んで、その番号を記入しなさい。
[A] 
1.補強板は、必ず(イ)又はこれと同等の材質ものを用い、その板厚はフレーム母材と同じ厚さか、(ロ)であること。
2.補強板の端部は(ハ)ため、(ニ)にしなくてはならない。
3.補強板をリベットで結合する場合は、リベットの太さは、合わせた板の厚みよりも(ホ)か、又は同じものを使用する。
[B] 
1.冷間圧延鋼板   2.自動車用フレーム鋼板   3.幾分薄いもの   4.幾分厚いもの
5.フレーム母材との溶接のつきを良くする   6.応力の集中が生ずるのを避ける     7.先細り 8.直切り 9.大きい  10.小さい
これも教科書から文の抜粋である。
教科書p215
教科書p217
[9]次の各々について、適切なものには○を、適切でないものには×を記入しなさい。
1.ホース・チェック・バルブは、アセチレン・ガスの流量を制御するバルブである。
2.ガス溶接のトーチの炎は、アセチレンと酸素の割合が1:1のときに温度が最高となり、溶接に最適な標準炎と呼ばれる炎が得られる。
3.電気抵抗スポット溶接の電極チップ先端の直径は、溶接しようとする鋼板の板厚の2倍が適切とされている。
4.ガス・シールド・アーク溶接ワイヤは電極を兼ねており、コンタクト・チップとの通電性をよくするために銅めっきが施されている。
5.自動車ボデーの盛りハンダに用いられるハンダは、すず70%、鉛30%に若干のアンチモニを加えたものである。

1.ホース・チェック・バルブは逆火防止用のバルブである。
教科書p134
2.そのとおり。
教科書p134
3.チップ先端の直径は2t+3mm  ( t は板厚)
教科書p145
4.そのとおり。
教科書p156
5.鉛が70%、錫が30%に若干のアンチモニが加えられたものである。
教科書p159
[10]次の[A]のイ〜ホに関係のあるものを[B]から選んで、その番号を記入しなさい。
[A] 
イ.電気アーク溶接の溶接電流が不足している。
ロ.電気アーク溶接の溶接電流が過剰である。
ハ.湿気を帯びた溶接棒を使用した。
ニ.電気抵抗スポット溶接の溶接ピッチが小さすぎる。
ホ.電気抵抗スポット溶接の溶接点が板(母材)の端にかかっている。
[B] 
1.ブロー・ホール    2.アンダー・カット    3.オーバ・ラップ    4.フォージング    5.エッジ溶接      6.スプレー・アーク   7.パルス・アーク    8.短絡分流

イ.電気アーク溶接の溶接電流が不足しているとオーバ・ラップが生じる。
教科書p140
ロ.電気アーク溶接の溶接電流が過剰だとアンダー・カットが生じる。
教科書p140
ハ.湿気を帯びた溶接棒を使用すると、ブロー・ホールを生じる。
教科書p140
ニ.電気抵抗スポット溶接のピッチが小さいと短絡分流が生じる。
教科書p148
ホ.電気抵抗スポット溶接の溶接点が板の端にかかっていることをエッジ溶接という。
教科書p149
[11]次の各々について、適切なものには○を、適切でないものには×を記入しなさい。
1.ピン・ホールという塗装欠陥は、上塗り塗料を高い粘度で一度に厚く塗装したときに生じやすい。
2.ラッカ・シンナはウレタン樹脂塗料の希釈剤として使用できる。
3.二液重合型乾燥とは、アクリル・ウレタン・ラッカ等、塗料に硬化剤を混ぜることにより、反応して高分子の塗膜を形成させる乾燥法をいう。
4.ハンドルに装着されているSRSエア・バッグ・アセンブリを取り外した状態で保管する場合、パッド面は下に向ける。
5.シート・ベルトのエマージェンシ・ロック・リトラクタは、緊急時にベルトのロックを解放する装置である。
1.そのとおり。
教科書p259
2.ラッカ・シンナはウレタン樹脂塗料には使用できない。
***
3.そのとおり。
教科書p244
4.パッド面を下にしておいてバッグが展開してしまうと飛んでいってしまうので危険である。
***
5.緊急時にロックされる機構である。

[12]次の各々について、適切なものには○を、適切でないものには×を記入しなさい。
1.衝突形態が向心衝突の場合、重心を回転軸としたスピン運動がないので、同じ衝撃力であっても偏心衝突に比べて損傷は小さくなる。
2.磁気探傷法は、鋼の表面に表れていない内部の損傷の検出にも適している。
3.フレームの対角線測定法では、フレームの左右曲がり及びねじれの有無を調べることができるが、菱曲がりの検出はできない。
4.点検ハンマで、リベットの締めの状態を点検する場合、そのリベットに指を当てていると、軽微なゆるみが発見しやすくなる。
5.サイド・スリップ・テスタでフロント・ホイールの横滑り量を測定したらテスタの踏板が内側に移動した。この場合、横滑り量を小さくするにはトーインを大きくすればよい。

1.偏心衝突の方が車両の移動にエネルギーが使われるため向心衝突の方が大きい。
教科書p225
2.磁気探傷法は表面に現れていない傷でも見ることが出来る。
***
3.対角線測定法はねじれの有無は調べられず、菱曲がりの検出はできる。
教科書p206〜207
4.そのとおり。
***
5.前側を狭くすれば踏み板は外側に動くようになる。

[13]図に示す方法によりレッカー車で乗用車をつり上げる場合について、次の各問に答えなさい。レッカー車及び乗用車の諸元は表と図に示すとおりです。
問1.つり上げたとき、ワイヤーにかかる荷重は何Nですか。ただし、つり上げによって生じる乗用車の重心の移動はないものとします。
問2.つり上げたとき、レッカー車の後軸荷重は何Nになりますか。ただし、つり上げによるレッカー車の姿勢の変化はないものとします。
前軸荷重 後軸荷重
レッカー車 15000N 7500N
乗用車 6000N 4500N
982_3.jpg

問1.6000×2500÷(2500+500)=5000          5000N
問2.(3750+750)×5000÷3750+7500=13500   13500N

[14]次の各々について、適切なものには○を、適切でないものには×を記入しなさい。
1.可搬式油圧ボデー・ジャッキ(ポートパワ)は、押し作業のほか、アタッチメントを組み合わせることにより引き作業もできる。
2.集光式前照灯試験器の光軸計は、前照灯の1m前方における主光軸の上下左右の振れの量を、50m前方の振れの量に換算して、これをcmで指示するようになっている。
3.トラム・トラッキング・ゲージは、フレームの曲がりを測定することができる。
4.キャンバ・キャスタ・キング・ピン・ゲージを用いてキャスタを測定する場合は、ターニング・ラジアス・ゲージを併用しなくてもよい。
5.ドリルで穴をあける場合、材料が柔らかいものほど、ドリルの刃先の角度の小さいものを使用して、また、高い回転速度で行う。

1.そのとおり。
教科書p165
2.1m前方における主光軸の振れの量を、10m前方の振れの量に換算。
3.寸法を測る測定器なので横曲がりの測定は出来る。
教科書p181
4.ターニング・ラジアス・ゲージに乗せてハンドルを廻さないと測定できない。
基礎自動車整備作業p75
5.そのとおり。
基礎自動車整備作業p37
[15]次の各々について、「道路運送車両法」、「道路運送車両法施行規則」、「自動車点検基準」又は「道路運送車両の保安基準」に照らして、正しいものには○を、誤っているものには×を記入しなさい。
1.乗車定員5人の自家用乗用自動車(貸渡自動車を除く。)の使用者又はこれらの自動車を運行するものは、1日1回必ずその運行の開始前に「日常点検」をしなければならない。
2.総排気量1.9リットルのバン型トラックで空車時の長さが4.65m、幅1.65m、高さ2.05mのものが、荷物を載せると高さが1.95mとなる場合は小型自動車である。
3.車体を修理するとき、ブレーキ・ホースをブレーキパイプから取り外さなければならない場合は分解整備に該当する。
4.後退灯の灯光の色が黄色であった。
5.自動車の排気管の開口部を下向きにした。
1.
2.空車時に高さが2Mを越えてはならない。
3.そのとおり。
4.白色でなければならない。
5.

当社編集部模範回答
1 2
1 2 3 4 5 1 2 3 4 5
× × × × × ×
3 4
1 2 3 4 5
7 4 5 6 2 × × ×
5 6
1 2 3 4 5 a b c d e
× × × 4 9 5 3 2 5 3
7 8
1 2 3 4 5
× × 2 3 6 7 9
9 10
1 2 3 4 5
× × × 3 2 1 8 5
11 12
1 2 3 4 5 1 2 3 4 5
× × × × ×
13 問1 問2
5000 N 13500 N
14 1 2 3 4 5 15 1 2 3 4 5
× × × × ×

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